着物を着た猫又が踊るポスターを見て、疼かないはずがないということで、丸の内にある三菱一号館美術館に行ってきました。幕末から明治にかけて活躍したスター絵師・河鍋暁斎（かわなべ きょうさい）と、その弟子・ジョサイア コンドル（英国人建築家、暁斎の弟子）の展覧会です。

建物に大きく掲げられた猫又の看板もさることながら、展覧会のキャッチコピー「狂ってたのは、俺か、時代か」にもジンジン胸が疼きます。

会場には国内外から貴重な浮世絵、美人画、挿絵、風刺画、絵日記、下描き、鳥獣戯画、春画など約120点展示しているそうですが、ボクの目当てはいわずもがなネコ。入口で10分ほど並んで入館して、音声ガイドを聞きながら彼らのすばらしい作品を見ていると、ネコちゃんのことをすっかり忘れそうに。が、そこはネコ野郎ということで、目を皿にして見てきました。

最終的にボクが確認できた猫画は計6作品。これを少ない（約120作品中の6点）と思うのは間違いなくネコ好きだけでしょう。そもそもネコが主役の展覧会ではないので、少ないと落ち込むのはお門違いですが、やはり寂しい気持ちに……。

『惺々狂斎画帖（三）』の顔面写真

しかしポスターに偽りなしのコーナーがありました！　ちょうど順路の中間地点に猫画『惺々狂斎画帖（三）』を大きく引き伸ばしたタペストリーと撮影できる部屋がもうけられていたのです。このネコ好きを小躍りさせる演出に、恥ずかしながら本当に小躍りして、写真を撮りまくりました。残念なのは持参したカメラレンズの画角が狭かったので、作品全体を撮ることができず、すべて顔面写真（上記写真）になったこと……。

ああ、なんて致命的なミスをしてしまったのか「もう、楽しみはミュージアムショップの猫グッズしかない！」と思いながら後半戦に挑むことに。ネコの作品を探しながら、花魁を描いた浮世絵の朱色があまりにも鮮やかだったので、近くに立っていた学芸員さんに「修復しているのですか？」と、聞くと当時のままだと教えてくれました。保管がすごいのか、絵の具がすごいのか気になり始めると止まらなくなり、気がつけば最後の作品の前に。

『惺々狂斎画帖（三）』の全体像

出口の手前に置かれていたのは先ほど撮影した巨大な猫作品の原画『惺々狂斎画帖（三）』（はがきサイズ）。「うむ、終わりよければすべて良し！」ということで、期待を膨らませてミュージアムショップへ。

展覧会のグッズは暁斎が描く絵のようにバラエティに富んでいました。カップ酒、おちょこ、クリアファイル、図録、書籍、雑誌、アロハシャツ、手ぬぐい、芋ケンピン、ピッンバッヂなどいろいろありましたが、猫関連はポストカードが3種類のみ……。そう、ネコが主役の展覧会ではありません。だから猫グッズが少ないのは当たり前ですが「それでもネコが好きなんです！」と、下唇をギュッと噛んでポストカードを3枚購入。

ポストカードとチケット。上_『惺々狂斎画帖（三）』（明治3年以前）、下_『鳥獣戯画 猫又と狸』（明治）、右『眠り猫』（明治前半）、各150円。

ほぼいないと思いますが、ポスターに惹かれてネコを目当てに、今回の展覧会に行くと消化不良をおこす可能性があります。「ちょっとネコちゃん少なくない？」と。まぁ、それを抜きにしても暁斎画伯の絵はすさまじいものがありまして、ボクはネコ切っ掛けでお邪魔しましたが、十分楽しめました。

結果、暁斎の描くネコは柄が独特！　目のまわりが白かったり、トラ柄×白などハチャメチャな模様でして、ネコ好きの視点からすると、時代ではなく「確実にあなたが狂っていますよ！」と判断。あと、やはり心残りなのが、もうちょっとネコの作品が多ければ。いやいや、ネコ好きも過ぎると、ただのネコ狂……。