『ニャンニャンぬーぼー』とはアルコール0%のかわりに、またたびが入ったワイン風の猫飲料。販売元の商品説明によると試作で9割の猫が飲まなかったと……。販売に踏み切った社長さんの英断に心から感謝したい。
うちの女王は飲み食いにはうるさいほうだが、好奇心だけは強い。解禁のセッティングをしていると早くも近寄ってきて、注がれた『ニャンニャンぬーぼー』をしつようにクンクンし始める。これはひょっとして……。
しかしそこは、好奇心は強いが石橋を叩いてもなかなか渡らない慎重派。すぐには飲まない。しばらくするとクンクンの鼻息がブヒブヒに変わってきた。なにぃ! 絶対に飲まないと思っていたが、鼻息が、鼻息が……。
いきなり、ぐいぐい飲み出す女王。9割のネコがダメだったのに、飲み食いにうるさい君が、ぐいぐいじゃないか! まさかの展開に「意外性のあるオンナは嫌いじゃなーい!」と、女王の飲みっぷりをじっくり鑑賞。
ノンアルコールなのに、なぜか悪い顔になる女王。中に入ったまたたびが効いているのか、解禁日の雰囲気がそうさせるのか、はたまたそばで嬉々とする同居人がうざいのか。たぶん、目の前のボクがうざいのだろう。
うざかったのだ。ボクが正面にこないように、わざわざ向きを変えて、またぐいぐい飲みはじめる女王。このジワジワくる精神的ダメージ(わざと向きを変えられる)を右から左に流して、飲みっぷりに集中するボク。
そうとう気に入ったのか、大衆酒場や角打ちのオジサンのような、渋い表情に変わる女王。オシャレな『ニャンニャンぬーぼー』が、だんだん労働者の味方、バクダン(赤玉ポートワインの焼酎割)に見えてきた。
飲むのを止めて、なぜか遠くを見つめる女王。「んっ、余韻にひたるほど、そんなに美味いのか?」と無駄に拡大解釈してしまったボクは、ひと口だけ舐めてみることに。うん、うまからず、まずからずの無味無臭!
短い休憩が終わると、また飲み始める女王。好みにうるさいはずなのに、どうして飲んだのかは不明。あまりにも美味しそうに女王が飲むので、急にバクダンで一杯やりたくなってきた。そう、ボクの解禁日はまだ遠い。