ウェス・アンダーソン監督の最新作は伝説のコンシェルジュが主役です。絨毯の上に落ちた塵ひとつさえ、セットの一部とおもわせる完璧な世界観は、美しくノスタルジックな赤い世界(共産主義)を中心に進みます。シリアスになりがちなストーリーを、コミカルな映像とシニカルな表現でテンポよく描いています。
そして、ネコ好きが注目するシーンは、弁護士で代理人の男・コヴァックスが飼う、灰色のペルシャネコです。長い毛をしたゴージャスなネコちゃんは、お金持ちのおじさま&おばさまが、クロッキングチェアに座り、ネコを撫でているイメージがぴたりとはまるネコちゃんです。
ことの顛末は書きませんが、高所からネコが落ちた場合、くるりと体を反転して華麗に着地をします。この宙返りに必要な距離は約60cmといわれています。このすばらしい反射神経を発揮できるのは、ある程度の高さからです。
例えば1〜4階の高さから落ちたネコは、命が助かる確率が高いです。無傷の場合もあります。それよりも高い5〜10階になると助かる確率は、ほぼありません。逆にそれよりも高い場所から落ちたネコは、ほとんど無傷で助かる場合があるそうです。スカイダイバーの要領で滑空して助かるんだとか。※もちろん年齢や状況にもよるので、すべてのネコが当てはまるとは限りません。
話はそれましたが、残念ながらペルシャちゃんは5〜10階、もしくは老ネコで体力が落ちていたのかも知れません。老ネコだと関節炎の可能性も考えられますし。なぜ落ちたかは言いませんが「許すまじき、あの殺し屋!」と、映画を見進めた為「いけ、そこだ、ペルシャちゃんの仇討ち!」と、無駄に手に汗にぎる鑑賞となってしまいました。
映画は最後のスタッフロールまで愛を感じるすばらしいデキですが、ネコ好きとしては、ぜひ、殺し屋の顛末もしっかり見届けて欲しいところです。そう、因果応報、ネコちゃんの恨みは恐ろしいのです!
試写会に呼んでいただいた映画解説者・中井圭ちゃん主宰の『映画の天才』では各業界のクリエイターがコメントを寄せています。ボクは各人のおもしろい視点におもわずヒザを「パチン」と叩いてしまいました。鑑賞後に読むといろいろ楽しめると思います。