パソコンと死ぬほど縁がないボクと田代島『たれ耳ジャック』の話。

bar600.gif

web_1PICT0175
web_2PICT0061

なんの前触れもなく画面がまっ暗になって電源が落ちること今年3回目。それっきり電源が入らなくなったパソコンは購入してまだ1年も経っていない。大丈夫なのかアップルくん、といきどおりを感じながらサポートセンターに電話をして修理の手続きをおこなう。翌日パソコンを引き取りに来たのはクロネコのヤマトくん。

しようがないので前に使っていたパソコンを引っ張り出したが、そういえばこのパソコンも初期不良で交換をしてもらった。東京に来てこの仕事を始めるときに購入したノートパソコンも初期不良で翌日交換……。今まで買ったパソコン4台のうち、3台が初期不良というパソコンに死ぬほど縁がないボクを、コンピューターに詳しい友達のネットジャーナリスト兼、ガイガーカウンターソムリエ兼、大家族研究家のゴトウくんは「なぜか初期不良を毎回引き当てる奴っているよな~」と、笑いながらボクの真新しい動作不良のパソコンを毎度確認しては、完全な初期不良だといつも太鼓判を押してくれた。

そんなことを思い出しながら古いパソコンで仕事をしていると、ハードディスクに田代島と名前が付いたフォルダを発見する。その中にはボクが5年前に1人旅をしたときの写真が入っていた。当時テレビで猫の島と呼ばれる田代島に「たれ耳ジャック」というネコがいると紹介していた。

白黒柄で左耳がたれているジャックは、島内の100匹以上いるネコの中でも1番気が小さくて、漁師さんが毎日捨てる漁のおこぼれ(雑魚)になかなかありつけない。他のネコにいつも取られて食べられないのだと。それを不憫に思った1人の漁師さんが雑魚を残しておいて、あとでこっそりジャックにあげていると。画面からビンビン伝わってくる、ただならぬ哀愁、海の男の優しさ、今どきあまり聞かない通り名(たれ耳ジャック)に興味を惹かれた。

ボクが学生の頃はジャックナイフを持ち歩くバンドマンのマサハルくんを「ジャックナイフのマサ」とか、異常に肩パンチの好きなリュウジ先輩を「肩パンアスリート・ドラゴン」とか、凶悪ヤンキーの口ひげ兄弟を「狂犬マリオブラザーズ」とか、通り名で呼んでいたことを無駄に思い出す。

番組を見た翌日から田代島までの行き方を調べて、旅館を予約、荷物をまとめてジャックに会いにいくことにした。東京駅発仙台行きの新幹線(1時間40分)に乗り込み、仙台駅でJR仙石線(快速電車/1時間13分)に乗り換えて石巻駅へ。そこからタクシー(5分)で船着き場まで向かい、綱地島ライン(49分)のフェリーに乗って田代島の二斗田港に。

乗り換え時間も含めると家を出発して約6時間。寒風吹きすさぶ12月に猫の島に単身乗り込む、独身男の2泊3日。初めての1人旅という緊張からか荷物をあれやこれと詰め込んで、とても国内旅行とは思えない巨大なリュックをしょい、パンパンに膨らんだ手提げカバンを両手にたずさえる。

旅の記録をデジカメで残したいと思うも、お金がないので渋谷の雑貨店で購入したトイカメラを首からさげ、黒いハットに、黒いコートに、黒いパンツ。中に赤いモヘアセーターを着て足もとはレザーブーツ。見た目は離島に季節外れのバカンスにやって来た『エルム街の悪夢』フレディ……。

田代島で降りた観光客はボクだけ。どこからどう見ても変質者の匂いしかしない。しかしそこは離島、潮の匂いもした。

つづく

web_5PICT0090
web_7PICT0014

<田代島>
宮城県石巻市からフェリーで約1時間の場所にある離島で人口約100人の漁師町。島民より、猫が多い猫の島としても有名で、猫を大漁の神様として山の祠に祭っている。人形劇『ひょっこりひょうたん島』のモデルになった島でもある。東日本大震災で津波の被害をうけ、現在も復興中。

Date:2013/12/17 | Category: ネコ,ボク | Comments (0) |

関連記事

bar600.gif

ネコのお仕事

bar600.gif

コメントを残す