続々続・パソコンと死ぬほど縁がないボクと田代島『たれ耳ジャック』の話。

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前回のつづき

朝11時、息苦しくて目が覚める。8割方、風邪と断定していいレベルのノドの痛みに、カラダのフワフワ感と、関節の痛み。しかし病は気から派のボクはこの風邪の症状3点盛りをどうしても認めるわけにはいかない。ボクはやっかいなことに小さい頃から風邪と認めてしまうとすぐに高熱が出てしまう……。ここは極度な空気乾燥によるノドの痛み、ネコの島に来た高揚感からくるフワフワ、まだあったのか成長期の残りかす関節痛と思い込んで乗り切ることに。

ベッドの中で甘露のど飴を舐めながら考える。15時33分のフェリーで帰るので、田代島滞在はあと4時間弱。荷物を片付けるのに1時間、帰る準備に20〜30分、ジャックに会いに行く&戯れるのに1時間。食欲はないが栄養をつけるために昼飯を食べるのに20分、いやノドが痛いから30分はかかるかも知れない。そんなことを考えていると、いつの間にか20分が過ぎていた。

そして悪夢とも言える1時間弱の2度寝から目覚める。超特急で荷物をまとめて、昨日と同じ黒いハット、黒いコートに、白シャツとグレーのウールパンツに着替える。肌寒いので一昨日に着た赤のモヘアセーターを白シャツの上に重ねる。

最終日にして『妖怪人間ベム』と『エルム街の悪夢』フレディーのコラボレートで『エルム街の妖怪人間ベム』が堂々完成。もうそんなことはどうでもいい、ネコ好き妖怪野郎には時間がないのだ。昼ご飯をひと口、ふた口食べて、急いでジャックのいる港に向かう。すでに時刻は14時……。

キョロキョロしながら港を歩いていると資材置き場にジャックの姿を発見。のんびり寝転がっているので、今日はご飯にはありつけたようだ。その姿をトイカメラで撮影をしているとジャックの友達らしき、こげ茶色の長毛ネコが近づいてきた。よく見ると背中に太いドレッドを1本たずさえている。毛玉が固まってドレッドヘアーになったに違いない。彼をマーレーと命名。ジャックとマーレーを眺めながら「友達がいてよかった、よかった。ひとりは辛いからな」とひとりで納得していると、すでに時計の針は15時10分。慌てて荷物を取りに民宿へもどる。

この頃になるとカラダのフワフワ感が心地よくなっていた。おそらくいい感じに熱が出て風邪が仕上がってきたのだろう。民宿の大将とキャンキャン吠えるタヌキくんにお別れの挨拶をしてフェリー乗り場に急ぐ。ここからは3日前に来た道のりを逆回転。熱でボーッとしていたせいか、あれよ、あれよという間に東京へ戻ってきた。

ワンルームの自宅に着いたのは22時前。家のドアを開けると微妙に両耳のたれた「たれ耳パティ」が出迎える。田代島の土産話をパティにいろいろ話たかったが、家に着いてすぐ「ああ、これ本気の風邪だわ」ときっちり確認したところで、ボクの『たれ耳ジャック』に会いに行く田代島の旅は「チーン」と終了の鐘を告げた。それからボクは高熱で3日3晚寝込むことになる。

<その後の話>
この旅(2008年12月)の数ヶ月後、ジャックが港に姿を見せなくなったことを何かの記事で知る。ボクはジャックと仲のよい漁師さんのことを思い出した。港で網の手入れをする漁師さんに「ジャックはどこで寝ているんですか?」と聞いた。すると「たぶん、あの山で寝ているよ」と、港近くの小高い山を指差した。ジャックの姿が消えたと知ったときボクは、あの山でのんびり寝ているだけなんじゃないかと思った。田代島は寝子(ネコ)の島。楽園に終わりはないのだ。                                       

おわり。

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<田代島>
宮城県石巻市からフェリーで約1時間の場所にある離島で人口約100人の漁師町。島民より、猫が多い猫の島としても有名で、猫を大漁の神様として山の祠に祭っている。人形劇『ひょっこりひょうたん島』のモデルになった島でもある。東日本大震災で津波の被害をうけ、現在も復興中。

Date:2014/01/08 | Category: ネコ,ボク | Comments (0) |

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