ここ数年は道に転がる、ある程度の大きな物体、石、箱、衣類の落とし物を見るとネコちゃんと誤認したり、「ネ」と「コ」の入った言葉、エコ、コロネなどに敏感に反応したり、目と脳がおかしなことになっています。旭山動物園でもどうしてもネコちゃんに目が行くようで、あざらし館のプールの前でぱたりと足が止まりました。
ここにいるウミネコは怪我をしていたため、動物園で保護をして飼育しているそうです。怪我で片方の翼がないので飛ぶことはできません。野生下ではアザラシとウミネコは同じ環境で暮らしているので、共生展示をしているそうです。ほかにも怪我で保護をしたオジロワシがいました。
あざらし館のプールでおこなわれるもぐもぐタイム(食事風景)といえば、それはもう大人気で、早めに場所取りをしないと見ることができません。実はアザラシの後にウミネコのもぐもぐタイムがすぐに始まるのですが、みなさんあまり興味がないようで、最前列で見ることができました。
確かに、魚の切り身をウミネコに渡すだけという地味な食事風景ではありますが、なぜか切り身を水たまりに1回くぐらせてから食べていました。まるでアライグマが何でも洗って食べるように、人が薄切りの肉をしゃぶしゃぶするように、ウミネコは切り身をちゃぷちゃぷさせていました。
水たまりは海水ではなく水道水か雨水なので味つけと言うよりは、ただのキレイ好きか、食べ物で遊んでしまうタイプか……。ウミネコの地味ながらも見る者に疑問を投げかける、もぐもぐタイムを最後まで見届けて、猫男子憧れの的、ネコ科最強のもとへ行くことに。
一般的にネコ科最強と言えばライオンか、トラか、となるわけです。個人的には集団で狩りをするライオンより、単独で狩りをするトラのほうが「ネコ度が高い!」という最強説とはまったく関係ないネコ目線の見解で、一路、アムールトラのもとへ。現れたのは左右対称の模様が美しいキリルちゃん(オス・5歳・アメリカ生まれ)です。
さきほどもらった『モユク・カムイ』(No.85号)のトラ紹介を読みながら、ふむふむ、現存しているネコ科で世界最大の動物がアムールトラなのかと、ひとりうんうん納得しながら、しばらく観察。気がついたら帰る時間が押し迫っていたので、急ぎ足でその場を離れることに。
帰り際にネコ科のユキヒョウがいたので、急いで真下から肉球を確認して「ふむふむ、肉球は黒か、我が家のパティちゃんと一緒だな」と、またひとりでうんうん納得。そして駆け足で旭山動物園の出口をくぐったところで、『ネコを訪ねて三千里』の終わりを告げる鐘の音が「ゴ〜ン」と頭の中で鳴る。
今度はゆっくりお邪魔してライオン、アムールヒョウ、クロヒョウ、ウンピョウをじっくり観察したい。ユキヒョウは雪が降る頃に来れば映画『LIFE!』のユキヒョウみたいにフサフサの冬毛状態が見られそう。それよりも天売島から来た「ひじき」「チロル」に早く里親さんが見つかればいいなと、あれこれネコ科に想いを巡らしていたら、いつの間にか札幌駅に到着していました。
そのままネコまっしぐらで東京の家までもどると、我が家のネコ科最強、キングオブ鬼軍曹ことベテラン社員のパティさんが、わざわざ出迎えてくれました。今回の留守番が不満だったことは一目瞭然……。
三角の目がすべてを物語っていたので、リュックを背負ったままネコ缶を電光石火の早業でお皿に盛り、おやつ用の高級カリカリをトッピングして、目の前に差し出すことでなんとか怒りを静めてもらうことに。一方、出掛ける前に「パティさんの言うことを聞くんだよ」と言い聞かせたジョージくんは、帰ってきてもイスの上で「だらーん」と眠っていました。
おそらくこのマイペースなところが鬼軍曹の琴線にふれたのか、どうかはわかりませんが、いや、たぶん、ふれたのでしょう。なぜなら、このイスは鬼軍曹のお気に入りの場所だからです。ジョージくんはこのあと缶詰でエネルギーを完全チャージしたよわい13歳の鬼軍曹に、追いかけ回されてこっぴどく怒られたのは言うまでもありません。
この猛烈な追いかけっこを見ながら「留守中も変わりなく過ごしていたのだな」と、いつもとかわらない弱肉強食の我が家にひとりうんうん納得。そしてネコちゃんのトイレ掃除、ブラッシング、マッサージを粛々と進めながら、その弱肉強食の1番下にいるのは誰なのかを今さならがら再確認。やはり、動物の世界は厳しい……。
一度は行ってみたい所です!
動物園ってどこか動物達が可愛そうなと思っちゃうのですが、ここは皆楽しそうだから
いいですよね。私も虎の肉球下から覗きたい♡
菅沼さま>ぜひ、1度足を運んでみてください。飼育員さんの愛情が端々に感じられる素敵な動物園ですよ。なかなかネコ科の生肉球を見られる機会はないですもんね。