病院へ行くためにキャリーバッグを持ち出すボク。
前日の交渉を簡単に破棄して机の下に逃げこむパティ。
恒例の「行く、行かない」のやり取りを5分ほどしてバッグに収まり、
ホイールの曲がった自転車をキコキコ鳴らしながら病院へ。
<歯石取りの流れ>
・前日24時から断食
・当日朝から水もダメ
・病院にIN
・血液検査(OKならオペ)
・全身麻酔→歯石取り
・帰宅
「歯石取りの予約をお願いしていたネコのパティですが」
受付をすませて待合室に座ると文字通り、借りてきたネコ状態に。
ここまでくると診察台の上でもされるがままのぬいぐるみ。
全身麻酔をかけるための血液検査もすんなり終わり、
「うん、検査の結果も問題ないですね。今までうちの病院で
麻酔による事故は1度も無いのでご安心してください。
もちろん絶対とは言えませんが、大丈夫です」と先生。
パティはいちおう老猫の部類に入る11歳(人間齢で約60歳)。
全身麻酔となるとリスクは高まるが、100%安全な手術もないわけで、
健康のことを考えると今のうちに歯石を取っておいたほうが……。
診察台のパティをゆっくり撫でながら、
「先生、マジで頼む!」と心の中でシャウトしつつ、実際は
「よろしくお願いします!」と深々と頭をさげていったん帰宅。
5時間後に病院から掛かってくる電話を待ちながら、
病院の方向にかしわ手を何度も打ち手術の成功を祈る。
そうだ、ボクはいちおうクリスチャンだった。
いや、もうそんなことはどうでもいい。
手術が無事に終わればそれでいいのだ。すまんイエス。
そうこうしているうちに先生から電話が掛かってきた。
急いで病院へ向かうといつもと変わらぬパティが診察台の上に。
先生が指で上手に口をこじ開けるとキレイな歯、歯、歯。
「先生! 芸能人だけでなく、ネコも歯が命なんですね!」と、
心の中ではなく実際にシャウトしたボクに、無言になる先生。
みずからキャリーバッグに入るパティ。
ボクは治療代を払いそそくさと病院を後にする。
家に着くなりバッグから飛び出して「メシ〜! メシ〜!」の催促。
そうか今日は朝飯抜きだったな。
頑張ったのでいつもはオヤツであげる高級カリカリを
たっぷりお皿に入れてあげると、期待を裏切らない鬼神の食いっぷり。
そして久しぶりに我が家に鳴り響く
「カリッ、カリッ」の快音。
そう、そのフルスイングの音が聞きたかったのだよ!
歯石も取れたことだし、しっかりご飯を食べて、
たくさん栄養つけて少しでも長生きして欲しいものだ。
カリカリも人生もフルスイング!