昔から大事な日には自信がありました。遠足になれば前日から発熱し、運動会当日には腹痛、気になる女子と温泉に行けば前代未聞の下痢に襲われ、友人と旅行に行けば頭痛で目玉の見学(万里の長城)はキャンセル。
こういったことが普通におきるのですが、今年は当たり年なのか一昨日(本の発売日前日!)から本年度3回目の伝家の宝刀=扁桃炎が火を噴きました。この扁桃炎にかかると熱が39度まで上がりますが、これがもう生き地獄で、ノドが痛くて唾液も飲み込めない、高熱でとにかく苦しい、水を飲もうにもノドが痛い、けど飲まないと苦しい……。とくに深夜から朝方にかけてこれでもかと熱が上がり、心身ともにフェスティバル状態になります。
パティさんは年の功かこんなボクを12年間何度も見ているので、朝ご飯の催促もせずにボクがフラフラ起き上がるのをおとなしく待っています。
問題は新人ネコのジョージくんです。
ボクがフェスティバル状態で「う゛ぇー、う゛ぇー」とベッドの上でうめいてると、なぜかお気に入りのおもちゃ(猫じゃらし)をくわえて体の上に登ってきます。それも嬉々とした表情で……。
ただでさえ高熱で苦しいのに、胸の上に毛玉4キロが乗り、犬でいう伏せの状態で待機。もうボクも高熱で体に力が入らないし、頭はもうろうとしているしジョージをさとす余裕もないので、猫じゃらしを手に取り「う゛ぇー、う゛ぇー」うめきながら猫じゃらしを左右に振るわけです。
待ってましたとばかり、ジョージはすごい勢いでボクの体を確実に踏みながら猫じゃらしを追いかける。ピンクのカバが見えるほどの高熱にジョージの悪魔のようなフットスタンプで、もしボクがここで息途絶えたら「独身猫男、猫じゃらしを手にベッドで怪死!」の文字が地域新聞に踊るのか……。
このような猫好き男の猫生活やボクが見聞きした猫のことを書いたのがこの『猫ともっと仲良くなりたいんニャ!』です。
長い、ここまでくるのに、長すぎる!
今回は『ネコでプッ! THE MAGAZINE』で大変お世話になったイラストレーター&漫画家・ふじいまさこさんにパティ&ジョージとの猫生活を漫画にしていただいています。ふじいさんは絵もさることながら言葉の選びかたがとても宇宙的でほんとセンスのあるお方。また雑学コーナーのイラストにはボクが16歳(田舎のパンク少年)の頃に音楽スタジオで知り合った女の子(現在、二児の母&イラストレーター)に描いてもらったりと、今回もいろいろなご縁とお力で完成した1冊になっております。
そしてこの本は原稿と漫画のストーリー以外(へなちょこイラスト少々)は、編集さんとデザイナーさん(気心の知れたチーム・のせ猫)が制作しました。いつもはボクもデザインや全体のテイストを考えたり、あれこれ制作するのですが、お任せしたぶん全体的にくどさが抜けて本らしい本に仕上がっております。
猫好きの方はもちろん、独身の猫男子(同志よ!)、猫好き男の日常をのぞきたい猫女子、これから猫と生活したいと考えている方に読んでいただけるとうれしいです。
そうそう、漫画にはボクも出てきますがきっちり2割増しで描いてもらっているので「実物と違う!」など、夢のないクレームはいっさい受け付けませんのであしからず。
『猫ともっと仲良くなりたいんニャ!』
宝島社/¥1,058(税込)